この記事は、法規(法律)の一級建築士対策から、実務での設計業務まで、建築士として活躍されたい方々向けに記載されています。

今回は、設計の基本「内装制限」です。

一級建築士を勉強すれば、誰しもが引っかかる内装制限。

いろんな法文に跨るし、法文そのものがよく分からないし、というイメージがあるかもしれません。

実は、その内装制限、ポイントが分かればものすごく簡単です。

内装制限が苦手。という方は、この記事で少しでも苦手意識を無くしてくれれば、と思います。

そもそも内装制限って何?

内装制限という言葉そのものが専門用語です。

建物を設計する際、法律で厳しく定められているものは、「火災」と「地震」に対して基準を満たせているか、という点です。

内装制限は、「火災」に対して配慮した法律で、建物の内部を構成する素材について、「難燃」「準不燃」「不燃」と3つの基準を定めています。

「不燃」が最も火災に配慮した素材となります。

何が対象か、どう制限されるのかの2大構成

内装制限にかかる主な法文は、

令128条の4、令128条の5 となります。

令128条の4 何が対象か?

令128条の4では、「何が対象か?」を指定しています。

この法文ですが、「内装制限に掛からないのは、この法文に記載以外のもの。」という回りくどい書き方になっているので、この段階で頭がショートする人もいるとかいないとか。

でも、まあ落ち着いて考えてみてください。

ここに記載のあるのもが、内装制限が掛かりますよ。ということです。

ここでは、特殊建築物で内装制限が必要となる規模が記載されています。

因みに余談ですが、法35条の2に内装制限の根本的な考え方が記載されています。防火上支障のないようにするという書き方で、そもそも特殊建築物は内装制限が掛かります。令128条の4は、ある規模未満だったら内装制限いらないよ。という法文です。

その他、特殊建築物でなくとも、大きい建築物、窓がない居室は内装制限が掛かるよと記載されています。

128条の4の解説に戻りまして、特殊建築物の構造方法として、耐火建築物、準耐火建築物、その他、という3つのカテゴリーに分けられており、一級建築士の試験で法文を引くのは基本ここだけです。

何項の特殊建築物で、何階建てで、何㎡か、この3つを照らし合わせて、内装制限が掛かるかどうかを判断します。

128条の5 どう制限されるのか

ここまでの解説が理解できたら、あとはめちゃめちゃ簡単です。「内装制限が掛かる場合は…」という枕詞を常にイメージしておいてください。

ここからは、一級建築士の試験で法文を引いて調べる必要はありません。

・居室は、原則「難燃」です。

・居室から避難等に使用する廊下、通路、階段等は「準不燃」です。

・居室でも、調理室等は「準不燃」です。

・地下の居室及び廊下、通路、階段等は「準不燃」です。

ここまでが、128条の5に記載されています。

その他のものとして、幾つか暗記が必要で、

・地下街及び地下道は、下地仕上げ共に「不燃」です。建物の地下室なら「準不燃」ですが、郡として構えると「不燃」になる、という程度で暗記しましょう。

・避難階段、特別避難階段は、下地仕上げ共に「不燃」です。

・非常用エレベーターの乗降ロビーは「不燃」です。

以上が、一級建築士レベルでの内装制限の全てです。

因みに、製図試験対策。という程度でもないですが、

居室からの歩行距離に関して、「準不燃」以上で10m足せるというのがあります。

実務の内装制限

ここからは、実務レベルなので、一級建築士の学科対策勉強程度でご覧頂いた方は、読む必要はありません。

告示による内装制限は色々とありますが、主たるものは次の3つで、基本的に「不燃」か「準不燃」です。

・排煙告示 「不燃」

・避難安全検証法「不燃」or「準不燃」で、計算時間が変わります。

因みに、避難安全検証法による計算を行う場合、廊下・エントランス系は全て準不燃、室は不燃が原則で、時間に余裕があれば、室の内装は準不燃でも成り立つ、という感じです。

・戸建て住宅のキッチン、一定規模以内で「準不燃」でなく木材が使用可能。

これは無窓居室には使用でないので、窓がある明るいキッチン、で想定しましょう。

以上が、内装制限の解説でした!

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